自然災害により大きな被害を受けることは多く、特に冬は雪による災害が発生しやすくなります。雪は非常に重いため、屋根・外壁が破損したり、フェンスなどが壊れたりするようになります。
特に2022ー2023年は全国的にも雪が多く被害も多かったと思われます。
雪によってご自宅に被害を受けたとき、火災保険の利用を考えましょう。火災保険に加入しているのであれば、雪害による建物の損傷について保険金を利用できる可能性が高いからです。
ただし、雪災による被害で申請する場合、中には認められないケースもあります。雪害ならではの保険金請求の注意点があります。
それでは、どのように雪災による火災保険金請求を行えばいいのでしょうか。ここでは、雪害を受けた後に保険金請求するときの条件やコツについて解説していきます。
火災保険における雪害・雪災とは?
雪害
雪害とは、雪による災害のことを言います。実際には交通事故や転倒、雪下ろし中の事故、住宅の破損など様々あります。
火災保険の補償では、「雪災」という言葉を使います。大雪などによる損害も補償の対象になります。
雪災
雪災とは、火災保険では雪の重みや落下によって発生する雪崩などの事故のことをいいます。

そのため、雪解けによる増水被害や除雪作業の事故、凍結、雪解け水の漏入などによる被害は雪災補償の対象から場外されています。
ただし、雪解け水による自宅への被害でも、火災保険の水災補償を付けていれば、補償の適用を受けることができます。
但し、火災保険の雪災は独立した補償ではなく、「風災・雹(ひょう)災・雪災」としてワンセットの補償です。損害保険会社の火災保険であればこの点は共通しています。
例えば沖縄県などで雪災はいらないと考えても風災も一緒の補償です。台風などの損害は外すことは少ないでしょうから、多くの火災保険に付帯されているケースが一般的です。
ただ火災保険の商品によっては風災・雹(ひょう)・雪災の補償がない、あるいは自分の選択で除外できるケースもありますので注意が必要です。
火事に限らず、火災保険は台風による風災や雪害を含めて、広く自然災害による補償を受けることができます。
雪災被害の火災保険の支払い状況

火災保険で最も支払い件数が多いのは台風被害(風災)です。ただ雪災による申請も非常に多いのが火災保険です。以下は、2021年に関する実際の申請件数です。
事故の種類 | 一年の支払い件数 |
火災・爆発 | 7,916件 |
落雷 | 37,889件 |
風災(台風)・ひょう | 170,134件 |
雪災 | 85,768件 |
水災(洪水・土砂崩れ) | 2,757件 |
このように自然災害の中では、台風被害の次に申請件数が多いです。毎年、冬になると多くの場所で雪が降るため、結果として雪災が多くなるのです。
雪災 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 |
---|---|---|---|---|---|---|
支払件数 | 45,331 | 68,667 | 16,978 | 9,205 | 78,748 | 85,768 |
支払額(単位千) | 24,337,697 | 37,629,351 | 9,131,979 | 4,642,589 | 45,725,370 | 52,201,878 |
なお、こうした雪害については豪雪地帯での申請件数が必ずしも多いとは限りません。そうした地域では既に雪害に対して対策済みであるため、むしろ「そこまで雪に慣れていない地域」について、雪害に関する申請が意外と多いです。
雪災の補償対象について
建物と家財の火災保険は別物
自宅などの建物と、家具や家電製品などの家財は、建物と家財と分けて火災保険に加入する必要があります。家財の火災保険にしか入っていなかった場合、大雪で家が損害を受けたとしても、建物は家財ではないため火災保険の保険金を受け取れません。逆も同様です。
雪害は自己負担が発生することがある(免責)
雪が原因で建物や家財に損害が発生した場合に、自己負担として新たな支払いが発生する場合もあります。自己負担とは、保険の契約時に損害額から自分で負担する金額をあらかじめ決めておくことで、保険料を抑えることができる仕組みです。
ただし、損害が起きたときにはその額を自分で支払う必要があります。
火災保険の自己負担額には、以下のような2つのパターンがあります。
●事例:自己負担額20万円で建物に50万円の損害が発生した場合
(1)損害額50万円から自己負担額20万円を引いて、残りの30万円が火災保険金として支払われるパターン
(2)自己負担額20万円以上の損害が発生すれば、損害額が全額支払われるパターン。この場合は損害額50万円が全額支払われる
最近は雪害の際に自己負担額が発生する火災保険は少なくなっているものの、自己負担額のある補償内容になっているケースもありますので、注意が必要です。

雪害で火災保険を申請できるケース
雪害で火災保険を申請できるケースを紹介します。以下に具体例を挙げますので参考にしてみてください。
1.雪の重みで屋根が壊れた
春先の雪解けで、雪が湿り気を帯びて重くなり、屋根や雨どいなどを破損させることがあります。この場合、建物の火災保険に加入していれば、損害補償の対象になります。
また、通常、雨漏りは火災保険の対象にはなりませんが、雪の重さで屋根が損傷して雨漏りが発生し、壁や天井に破損や汚損が発生した場合は、その修理代も雪害の支給対象になることがあります。
2.雪の重さで車庫が壊れた
雪の重さで車庫が破損した場合や、落雪で車庫が破損した場合、いずれも建物の火災保険に加入をしていれば、損害補償の対象になります。
ただし、火災保険の対象となる車庫は66㎡未満のものに限られます。また自動車に損害が発生した場合は、火災保険の対象にはなりません。自動車の損害は、自動車保険の車両保険でカバーします。
雪害で火災保険を申請できないケース
1.自宅の落雪で近隣の自動車が壊れた
自宅の屋根などからの落雪で、隣の家、あるいはたまたま停車していた自動車を破損させた場合は、火災保険の対象外です。火災保険や自動車保険に個人賠償責任保険特約を付けておくと、保険の対象になります。
2.自宅の落雪で近隣の建物が壊れた
自宅の落雪で隣の建物に損害を与えた場合も、火災保険の対象外です。個人賠償責任保険特約が付加されていれば、損害補償の対象になります。
3.自宅の落雪で通行人がけがをした
自宅の落雪で通行人にけがをさせた場合、火災保険の対象にはなりません。しかし個人賠償責任保険特約に加入していれば、補償の対象になります。
4.自分が雪で転倒してけがをした
雪による転倒は、火災保険では対象にはなりません。傷害保険に加入していれば、入院代金や通院代金が補償されます。また、医療保険でも内容によっては支給対象になります。

雪害による火災保険請求の注意点
1.請求期限は3年まで有効
注意点として、火災保険は時効があります。雪災による被害を受けた後、長く時間が経過してしまうと保険金請求できなくなってしまうのです。
火災保険の請求期限は災害が起きてから3年と決まっています。以下の通りです。
【第95条(消滅時効)】 保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第63条または第92条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、これらを行使することができる時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。 |
大雪による被害が起こった後、できるだけ早めに保険金請求をしなければいけません。ただ3年以内であれば申請できるため、申請期限を迎える前に保険金請求するようにしましょう。
2.隣家への雪の被害は火災保険の対象外だが、隣家から自宅へ落ちてきた雪の被害は対象
先ほど、火災保険を利用できないケースとして紹介した隣家に対する落雪についてですが、自宅の屋根から大量の雪が滑り落ちて、自分の家の屋根や雨どい、カーポート、フェンスなどが壊れた場合は補償対象になりますが、隣家に落ちて他の家を破損させてしまった場合は補償対象外です。
しかし、逆の場合であれば保険金を利用できます。「隣家からの落雪によって、あなたの家のフェンスが破損した」などのケースです。ただ、隣家に対する影響は対象ではありません。火災保険というのは、あくまでもあなたが保有する不動産に対しての補償になります。
3.車庫(カーポート)は対象だが、自動車は火災保険で補償されない
なお前述の通り、火災保険の対象範囲は広いです。これには門やフェンス、物置、車庫(カーポート)も含まれるのが一般的です。ただ、車庫・カーポートについては雪害の補償対象であったとしても、車庫の下にある車については補償対象外です。
車については、自動車保険の対象になります。同じ損害保険であっても、火災保険と自動車保険はまったくの別物になります。車とバイクについては火災保険の対象外となるため、たとえ雪の影響による被害であったとしても火災保険金は下りません。
雪災による請求方法

実際に雪災事故が発生し損害を受けたときには、どのような手続きが必要になるのでしょうか。火災保険の一般的な保険金の請求方法とその流れを解説します。
申請手順は下記の1~5の順番になります。
- 保険会社へ連絡して事故受け付けをする
- 必要書類を受けとる
- 必要書類を揃えて提出する
- 鑑定人による調査を受ける
- 保険金が支払われる
1.保険会社へ連絡して事故受け付けをする
契約者は、保険会社に雪災で損害があったことをWEBまたは電話にて連絡します。連絡する内容は、契約者名や保険証券番号、事故の日時・場所、保険の目的、事故の状況などが一般的です。事故の状況や原因などはわかる範囲で問題ありません。【申請書類の送付を依頼】
2.必要書類の受取り
保険会社に連絡をすると、保険金の請求に必要な書類などについての案内が送られてきます。【保険金請求書と事故状況証明書のフォーマット】
3.必要書類を揃えて提出する
必要書類は下記の1~4になります。全て揃えて保険会社から取り寄せた封筒で提出します。保険金請求書は、保険金の申請や口座の指定をするための書類です。不備がないように記入してください。罹災証明書に関しては各自治体、保険会社によって請求されないこともあります。事故状況証明書は、損害状態や原因などを保険会社へ報告するための書類です。損害状況を具体的にイメージできるように記載しましょう。修理見積書は、修理の金額や修理に使用する素材や、単価などが記載された書類です。修理会社によって総額が異なる場合があるので、様々な修理会社で相見積もりを行い、金額の算出方法やその正当性について比較検討しましょう。損害物の写真は、損害状況を裏付けるための提出物なので、対象が鮮明に映るよう撮影してください。
- 保険金請求書(各保険会社指定の用紙)
- 罹災証明書(罹災の事実や被害の程度を証明するもの。被害に遭った場所を管轄する消防署または消防出張所で交付)
- 事故状況証明書(被害の程度がわかる写真や画像データ)
- 修理業者などからの修理見積書や報告書
被害の程度が大きく、保険金請求額が高額になる場合は、印鑑証明書や建物登記簿謄本(保険の対象が建物の場合)などの提出が必要になることもあります。
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4.保険会社の鑑定人による被害の調査
必要書類の提出後には、保険会社から派遣された専門の鑑定人によって、事故原因や損害額の検証、状況調査が行われます。調査結果と契約者から提出された書類や画像データなどに基づき、保険金支払いの審査・認定を行います。補償の対象と認定されると、損害保険金の金額が確定します。
5.保険金の支払い
申請者のもとに鑑定人の調査、検討の結果、確定した保険金額の通知が届くので、問題がなければ同意して保険金を受け取ります。保険金が指定した金融機関に1週間~4週間ほどで入金されます。なお、保険金の使用用途は特に指定されることはありませんので、損害箇所の修理以外にも自由に使うことができます。
雪害による火災保険申請のコツ【火災保険申請サポートの利用】
雪害に遭った際に火災保険が適用される場合とされない場合について解説しました。損害の直接的な原因が雪災であるか否かを基準として、補償対象かどうか判断されます。雪災による直接的な損害は補償対象になりますが、雪解けによる洪水などの2次災害は補償対象外なので注意しておきましょう。保険金を受け取るためには、損害発生時の状況や要因をできるだけ具体的に保険会社へ報告することが大切です。また、補償対象となる損害でも、損害を受けてから3年以上経過すると申請資格を失ってしまう場合もあります。損害を見つけたら速やかに申請を行う必要があります。

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雪災を補償できる火災保険のポイント
大雪・豪雪・暴風雪への建物被害には「風災・雹(ひょう)災、雪災」補償で対策が可能
- 「雪災」補償で、補償できない雪の被害は他の補償でカバーできるものもある
- 損害額による支払い制限の有無・損害時の自己負担金額を確認
- 申請は雪災被害から3年以内
- 被害額が20万円以上
大雪・豪雪による被害は、毎年報告されています。特に普段雪の少ない地域では、家を建てる際に大雪による積雪を想定していないケースがあります。たとえば、普段から積雪の多い地域ではカーポートも耐積雪仕様となっていますが、一般的なカーポートは耐積雪20cm程度のものが多いようです。カーポートの屋根が落ちたり、支柱が倒れるなどの被害が見られました。
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